『青、5番の角に飛び込む、あるいはオセロのようなもの』
「カドだ、カド、そこの角を取っちまいな。ケケケケ」
藍子には見える、悪魔が囁く姿。
そう、たったひとつの言葉で相手が信じていた世界はひっくり返る。
パタタタタタっと。
ひとつひとつの真実、全てが真っ黒な嘘へ。
あなたの信じた幸福なあのひとときは、フェイクと勘違いに染まる。
それは、ずっと耐えてきた藍子の鮮やかな逆転劇。
「逆転?!違う。傷つく人がここにひとり増えるだけね」
軽く口角をあげた藍子の顔。
婚約指輪を外しながら依子はしかし、角を、攻めた。
パチリ。