「出たな、ちょいワル団!いくぞ、ロボ出動だ!悪いやつらをやっつけろ!!」
少年の掛け声とともに、小学校の校庭の大地を割って、巨大ロボがズボボーン。
「あらわれたか、大塩少年と巨大ロボ。こちらにも用意がある、いでよ怪獣チェルノブイリン。」
こちらは、こちらで、コスプレをした女性の号令で怪獣が空からドドシンと降ってきた。
街の人々は逃げ惑う。誰かが叫んだ。
「キャー、あの怪獣は、自分たちの利益を優先した人類が大量に産み出した核廃棄物が生態系に影響を及ぼすことによって、予期せぬ異常発達を遂げてしまった柴犬よ。なんて、なんて悲しいサガを持って産まれた怪獣なのかしら!!ううぅ。」
大塩少年はふと思った。
コスプレの女性の後ろに立っている2人の男は何もしないけど、毎回彼女に付いて来る意味あるのだろうか。部下らしいけど。
おおっと、そうれ、巨大ロボと巨大怪獣が取っ組み合いだ。
空は高くて、そろそろ夕焼け。
今日は、怪獣日和かもしれない。
「ロボ、必殺パンチだ!」
どかーん。
「よし、やっつけたぞ。」
「おのれー、大塩少年と巨大ロボめ!まいどまいど邪魔しおって、次こそは覚えておれよ。」
すたこらさっさと、ちょいワル団の女性幹部と部下2人は尻をまくって逃げていく。
部下の一人も、いつものように黙々と逃げながら、突き抜けるようなこの高い空に思いを馳せる。 もしあんな大きな怪獣の目線でこの空を見たら、どう見えるんだろう。それでもやっぱり高く見えるのかな。
世界は、こんな風にずっといつまでも平和に続いていくんだろうな。と、みんなが少しも疑うことなく思っていた。